参考 記事・動画
・東大入学式 祝辞「夢に関わる、心震える仕事を」 馬渕俊介
・10年後、君に仕事はあるのか? 藤原和博
・シン・ニホン 安宅和人
始めに
自分もそうだが、人生の大半を占める仕事でキャリアを築いていく中で悩む人は多いと思う。今回3人のスペシャリストの記事・動画からキャリアの築き方の1つをご紹介する。
概要
キャリアを築いて行く中で、意識するべきことは複数の異なったキャリアを経験し、それを組み合わせることが最適だと考えられる。1つの分野で世界のナンバーワンになることは、競争も激しく、飛び抜けるのが難しいと思われる。しかし、いくつかの重要な分野の経験やスキルを掛け算して問題解決できる能力を身につけ、「独自性(オンリーワン)」を築くことができる。そのため、複数のキャリアをかけ合わせる方が飛び抜けたキャリアを築きやすい。以下にそのメリットを示す。
- 様々な視点を持て、複雑な問題に対応できる。
- 他にはない自分特有の強み「独自性(オンリーワン)」となり、希少性が上がり、収入が増える。
これからの世界はこれまでと比べて圧倒的に不確実で不安定で複雑な問題が多く存在するようになるが、逆に可能性に満ちた時代になる。そんな時代に向けたキャリア戦略となる。
今回そのようなキャリアを築いたスペシャリスト3人の事例をご紹介する。
モデル1 馬渕俊介さん
馬渕俊介さんは文化人類学を学び、それからコンサルティング会社を経由し、現在は世界の感染症をリードする国際機関グローバルファンドで保健システムおよびパンデミック対策部長をつとめている。それらの経験を駆使してエボラ出血熱での緊急対策をやってのけた事例も参考記事で紹介されていた。
馬渕さんは夢や貢献したいことから逆算して、必要なスキルや経験を積める場所を選んできた。その結果、様々なキャリアを積む選択をしてきた。馬渕さんの場合、夢は「グローバルヘルス 世界の貧困や感染症の解決」である。
馬渕さんのキャリア形成のアドバイスを以下に示す。
・キャリアを選択する上で考える軸は「心が震えるか」どうか。
・自分の夢に関わる本当に好きなことをやらないと、それを徹底的に突き詰めることはできない。また、好きなことをやってないと、幸せの尺度が「自分が他人にどう評価されているか」になってしまう。他人の評価を気にする他人の人生ではなく、自分がやりたいことに突き進む自分の人生を生きる。
・課題中心で仕事をし続けることができれば、自然と情報や知識は降ってくる。
・「環境が人を作る」。人間は弱くも強くもあり、自分のいる環境をたった一人で突き抜けて大きく成長していくことはとても難しいが、逆に凄い人たちの中で、あるいは修羅場に身を置いて、難しい挑戦を続けていると、それが普通にできるようになって、その次のさらに大きな機会に手が届くようになる。環境は、「わらしべ長者」のように力をつけて、「経験を組合わせ」ながら得ていく。
モデル2 藤原和博さん
藤原和博さんはリクルートで営業・プレゼン、それからマネジメントのキャリアを積み、義務教育初の民間校長を務めるなど教育業界へ大きく転身した。
藤原さんのキャリアのアドバイスを以下に示す。動画を見れば、より理解できる(キャリアの大三角形を参照)。
・3つのキャリアを掛け合わせ、1/100万の希少性を出す。
・20代付近で最初のキャリアで足場を作る(1/100の人材)。30代付近でもう片方の足場を作り、ライフライン(食べていける仕事)となる土台を作る(1/1万の人材)。1万時間(5-10年)がキャリアをマスターする時間の目安。
・3歩目を異なる分野で大きく踏み出すかで、希少性が大きくなる(1/100万になるキャリア人材)。3歩目はリスクある所に出てみる、不利な勝負をかけてみる。そのチャレンジを応援してくれる人も出てくる。
・築いたキャリアの中で、他者が自分に共感、信頼してくれる量(信用)を増やしていく。
・勉強や仕事をする目的は信用を増やす。
モデル3 安宅和人さん
安宅和人さんは情報学者・脳科学者として大学の教授を勤めながら、ヤフーのCSO、データサイエンティスト協会、国の政策提言のアドバイザーなど多方面で活躍している。これほどの多方面で活躍できる力を身につけた経歴としてはコンサルティング会社、研究機関、データサイエンスなどから得ている。安宅さんのキャリアのアドバイスを下記に示す。
・未来は目指すものであり、創るもの。未来を語れる教養を身につける。
・仕事や価値を生み出す本質を理解する。「仕事=力×距離」つまり「どれだけ大きな存在に対して、どれだけ勢い良く、どれだけの変化(距離)を引き起こしたか」単なる努力、試みは自己満足、浪費に過ぎない。生み出す変化がなければ、ゼロであり、意味の持ちようがない。色々な仕事がどのような変化を生み出しているか考察し、自分はどういう変化を生み出したいか、そのためにどういう技なり力がいるかを考えるべき。
・あまり多くの人が目指さない領域あるいはアイデアで仕掛けれる人がを目指す。必ずしも人が気づいていないような自分の道へ進む。多くの人が目指す方向はコモディティ化に繋がる。そのためには他人の判断に流されるのを避け、自分の目で見て肌で感じた判断を信じて、逆を張る。また、2つ、3つの異なる軸で熱狂的に取り組むことで「独自性」を作る。
・1つの領域の専門家より、夢を描き、複数領域を繋いで形にしていく力を持つことがこれから重要。
最後に 最強センター河田
スラムダンクの登場人物に全国の強豪校である山王高校に最強センター河田という選手がいる。河田は最初は身長が低く、センターとは違うポジションであるポイントガードからスタートし、身長が伸びるにつれバスケットの各ポジションを経験し、最終的にセンターのポジションについた。その間にセンターでは培われない能力を身につけ、各ポジションの理解をし、センターとして最強となったという話である。バスケット漫画の話であるが、各ポジションの経験をかけ合わせた結果、独自性を築け、結果的に高校No.1センターになった。
今回の3人のスペシャリストの言葉からもキャリアや経験をかけ合わせることが問題解決力の向上や独自性・希少性を築く1つの選択肢であることがうかがえた。同質性が重視される日本において、同質性から脱却する1つの選択肢になると思った。
参考本
藤原和博 書籍
安宅和人 書籍
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