本の紹介
最高の体調
著作 : 鈴木 祐
この本を読むべき人
- 日々体調が優れない人
- 日々不安を感じる人
- 自分の持つパフォーマンスを最大限引き出したい人
概要
本書は進化医学の考えをベースに、心と身体の健康について総合的にアプローチする。著者が多くの論文を読んで、実体験し、それに基づいた方法が記載されています。
【アプローチ概要図】
進化医学
(本書より参照)
進化医学は進化論をベースに人間の病気の正体を考える学問です。進化とのミスマッチで文明病が生じていると考えます。人類は少なくとも600万年にわたって狩猟採集民生活を続け、進化したとされています。自然の中で獲物を追い、太陽と共に暮らし、少数の仲間と語り合う。狩猟採集民の生活で最高のパフォーマンスができるよう進化したという前提で考えていきます。現代の生活が狩猟採集民の生活とミスマッチし、文明病が発生していると捉えていきます。考えるポイントとして、狩猟採集民の生活と比べて、現代の生活は「多すぎる」、「少なすぎる」、「新しすぎる」という基準で考えます。「多すぎる」の代表はカロリー、「少なすぎる」の代表は睡眠、「新しすぎる」の代表はトランス脂肪酸や孤独です。本書では一覧表としてまとまっており、必見です。
「炎症」と「不安」
(本書より参照)
本書では文明病の大きな要因として、「炎症」と「不安」が記載されていました。文明病の炎症と不安の特徴として、長期におよぶ慢性的なもので、狩猟採集民の炎症や不安と異なるものです。
炎症は特に認識しづらい長期におよぶ慢性的な体内の炎症が問題視されていました。肥満や糖尿病などの生活習慣病は内臓脂肪による慢性炎症の1つであり、うつも炎症が原因である仮説が有力視されています。
不安は「未来の遠さ」が原因とされています。狩猟採集民は「はっきりした不安」です。猛獣に襲われる、食べ物がないなど、長くても今日という直近で完結する不安です。どのように解決するかもシンプルでわかりやすいです。そのため、未来の感覚がなく、現在に集中していたとされています。
一方で現代人が抱く不安は「ぼんやりとした慢性的な不安」です。長期的な仕事のプレッシャー、将来への不安などです。不安の機能は危険を知らせるアラームのようなもので、現代人が抱く不安はアラームが誤作動し続けている状態です。それにより記憶力や判断力の低下、死期を早めるとされています。
アプローチ
本書にはアプローチについて具体的に、詳細に書かれているので、参照いただきたい。
【炎症】
- 腸内細菌(発酵食品、プロバイオティクス、食物繊維)
- 自然(公園、観葉植物、自然音や自然画像)
- 友人
- リアプレイザル(感情の意味付け)
- 睡眠・昼寝
- ウォーキング・運動
- デジタル断食
【不安】
現代人は未来のことを考えずに生きるということは難しいので、以下のアプローチにより未来と現在を近づける。
- 価値観の明確化
- 畏敬の感情を抱く(自然、アート、偉人)
- 自己観察(マインドフルネス)
- ルール設定(ポモドーロテクニック、イフゼンプランニング、3ルールなど)
- フィードバック(作業トラッキング、メタ認知)
本を通して思うこと
個人的には進化医学というロジックとなる面白い観点から書かれた本でとても参考になりました。心と身体はつながっているという観点から総合的にアプローチしている本としても、とても良い本でした。不安に対するアプローチで未来と現在を近づける考え方は必見だと思います。
参考動画
健康意識爆上がり中の西野亮廣と学ぶ「最高の体調のつくりかた」【自称“日本一の文献オタク“が解説】
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