書籍紹介
お金のむこうに人がいる 著者:田内学
前置き
日本は他の先進国と比べて、投資をするということに疎い人、または恐怖心や如何わしいものだと考えている人が多いかもしれない。自分もその1人であった。
自分の人生に置いて投資との出会いを振り返ると、社会人になるまで一切投資というものに触れてこなかった。社会人になり、投資に触れたのはお金持ちになる為のセミナーであり、株式投資、不動産投資はお金ちになる為の手段であった。また、投資はPC画面に張り付くデイトレーダーやバブル期に大きく失敗したというようなイメージがある。
果たして、投資はお金持ちの手段でしかないのか?改めて投資を考え直したい。
重要箇所
・お金の向こうに人がいる(働く人がいなければお金は力を失う)。
・全てのモノ・サービスは労働によって作られ、モノ・サービスの効用(価値)がヒトを幸せにする。
・投資とは未来の為の基盤作り。
目次
・お金の向こうに人がいる
・効用(価値)
・投資、消費、投機、税金、寄付&プレゼント
・投資について
・コメント
お金の向こうに人がいる 本書の内容紹介
本書の要となる考え方である。ぜひ、通読することすることをお勧めする。今回本書のほんの一部しか触れていないが、お金について多く考えさせられることが記載されている。お金の考え方を改めてさせられた。
お金は働く人がいてこそ、価値がある。働く人がいなければ、お金は価値を持たない。本書では以下の例が取り上げられていた。
(例1) 蛇口をひねって水が飲めるのはお金を払っているからではない。水源を管理する人、水質検査をする人、水道管の修繕をする人、見えないところで多くの人が働き、支えてくれている。
(例2) ステーキ(生まれたての子牛原価0円からスタートして、人が関わることによりお金が加算されていく)。下記はだいぶ省いているが、多くの人が関わることにより。価格が付加される。
+飼育の人件費+食肉工場の人件費+輸送費+肉屋の人件費
効用(価値) 本書の内容紹介
お金を払ってもたらされる全てのモノ・サービスは労働によって作られ、その効用がヒトを幸せにする。その効用こそが価値である。
何を作って、誰をどのように幸せにするかはお金の流し方次第。大事なのはどれだけの労働がどれだけの幸せ(価値)をもたらすかが重要と本書に書かれている。お金の流し方自体が目的になると、無駄な労働をさせていること、人々にもたらす効用が少ないことに気づけない。
投資、消費、投機、税金、寄付&プレゼント
本書を参考に、次にお金を支払う5パターンを見て、主に誰に対して、どのような効用が生まれるか考えてみる。
○ 投資
対象:主に将来の自分、次世代の人達
効用:より良いモノやサービスを受け取れる可能性
投資の効用は将来の自分や次世代にもたらされる。株式投資、自己投資、事業投資、公共投資。
お金が投資に流れれば、将来の為に使われる。投資は不確実であり、失敗するリスクも伴う。効用を得られるのは先の話である。投資はチャレンジ的なお金の使い方で効用という責任がついてくる。下手な投資はヒトの労働を無駄にするだけである。
○ 消費
対象:主に自分、自分の家族
効用:生活や娯楽の為のモノやサービス
消費の効用は主に自分自身や家族にもたらされる。消費は確実にすぐに効用を得るとこができる。
消費にお金が流れれば、労働は現在の為に使われて、投資にお金に流れれば、将来の為に使われる。企業は消費で得た利益を将来の更なる事業投資を行う。
○ 投機
対象:自分
効用:勝てば、利益や高揚感を得ることができ、中毒性を備えた楽しさがある。
運任せの面があり、ギャンブル。勝者と敗者が生じるゲームであり、自分自身を楽しませることができる。短期的な株式投資も投機に分類される。
○ 税金
対象: 自分や他者を含め、社会全体
効用:現在や将来を対象とした教育、医療、公共事業等
社会全体皆んなが生活に困らないように分配する為。ちなみに、この本で興味深い話があり、お金は税を払うためある。
○ 寄付&プレゼント
対象: 他者
効用:困っている人を助けになったり、大切な人を喜ばせることができる。
お金の良い使い道の1つであり、自分自身も貢献できたという気持ちを得ることができる。
投資について
以上本書を参考に、将来の効用を得る為に投資は重要である。確かに多くのお金を得る方法として利用することもある。
株式投資を例にすると、デイトレーダーのような短期的な株の上げ下げによる売買は転売であり、高く買わされる人がいれば、高く売ってお金を得ることができる勝者と敗者が存在する投機である。長期的に株を保有することで会社の成長に寄与し、将来的に効用を得ることができれば、それはお金の使い方として投資となる。不動産投資も自分が使っていないものを転売するのであれば、投機でしかない。誰かの生活の効用を高めているわけではない。投資の本質的は未来の効用を高める為の基盤作りである。
コメント
では、どういったところに投資をするか?将来の効用を考え、各々が成長して欲しい、問題を解決して欲しい、助けたいと想いが強い応援したい分野や成長する可能性が高く、多くの効用が得られそうな分野で投資を行うべきだと思う。投資という手法を用いて貢献できるのである。
国連が掲げているSDGsも世界の課題解決が求められ、投資先の参考になると思われる。私の場合は医療に携わることが多い為、医療により投資したいと考えている。現在、医療分野はバイオテクノロジー等の科学技術の進展、モダリティ(病気の原因に対して異なるアプローチができる薬タイプ)の多様化、AIやデジタルサービスとの融合で目覚ましい。
治療法の開発が遅れている希少疾患、小児・思春期・若年世代の医療、病気を未然に防ぐ予防医療、病気が進行する前に早期に診断治療を行う先制医療が進展し、多くの効用を得られることを期待する。
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