書籍紹介
「誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方」 著者:今井 孝
レビュー
シンプルで分かりやすい本であり、励まされる。はじめて自分でビジネスを始める人にとって、どのような心構えで臨むべきか参考になる良い本である。
図解・概要
給与所得で時間をかけて少しの収入を稼ぐ人がいる。一方で副業や起業などで月100万円以上を自在にお金を稼ぐ人もいる。
その差は資格を取り続けることや学び続けること、特別な才能やスキルではない。ゼロからお金を生み出す知識である。
ゼロからお金を生み出す知識で手にしたお金と経験により以下の好循環が生まれる。
→自由の獲得、他者への貢献ができる
→そこから得られた自信により、自分を好きになり、自分を認めることができる
(1)人間の欲求への理解
価格の安い・高いはお客さんの欲求の強さで決まる。
例)野球選手のサインボール(好きな人は購入する)
例)高級ステーキ(お腹いっぱいの人は食べたがらない)
価値は感情で決まる。価値や価格は考えるものではなく、感じるもの。人によって感じる価値は異なり、同じ人でも気分によって価値の感じ方は変わる。
満たしたい感情があるから購入する。相手がどんな感情を満たしたいかがわかられば、お金を生み出せる。
自分のスキルを磨くより、相手の欲求を知ることに意識を向ける。価値はテストの点数でも、経験年数でも、資格の数で決まるものではない。価値はお客さんによって決まる。どんな人が「お金を出しても欲しい」と感じるか。そこからビジネスの考えがスタートする。
人は欲求が強い程大きなお金を払う。
強い欲求の代表
- 人間関係 職場、友達、恋人などの様々な悩み
- お金 売上を上げるITシステム、転職や出世のための英語学習
- 健康
欲求の体感方法
- エピソードに感情移入する 相手のエピソードを聞く。特に抱いている感情について。
- 自分が体験して価値を感じたサービスは売れる
- 相手の労力を省くことを考える 時間や労力をかけたくないと言う理由でも人はお金を払う。その苦痛を避けられるとしたら、安いと感じる。
(2)お金に関する正しい目標設定
ビジネス開始時から多くの人に買ってもらい、認めてもらい、100%結果を出す目標を設定する必要はない。以下に目指すべき目標を示す。
1)少数の人に買ってもらう
たくさんの人に買ってもらわなくて良い。売るモノにもよるが、年間10人〜30人売れれば充分である。コンサル料金30万円であれば、年間300万円の売上となる。広いニーズに応える必要はなく、自分の得意なこと、好きな分野に絞り込んで良い。
2)必要な人だけに買ってもらう
すべの人に認めらう必要はない。たった1人に厳しいとコメントされただけで自信を失う必要はない。人によって欲求が異なる。
99%の人が価値がないと感じても、自分の提供するものを高く評価し、価値を感じてくれる1%の人だけに買ってもらえれば良い。
3)100%の結果を保証しなくて良い
結果を手に入れるサポートや可能性を提供できるが、顧客の結果を保証はしていない。結果を出すためには、本人の努力が必要。
4)差別化はしなくて良い
小さくサービスを始める段階では差別化をいらない。
競合他社を意識し、目の前の相手を満足させる意識が弱くなる。最初は目の前の相手に向き合うことが大切。差別化を考えすぎて、行動できないことを避ける。
5)独自の路線に進み、自分らしい味を出す
ビジネスを行うことに、ナンバーワンを目指さなくても、すごい人になる必要はない。自分らいし味を出し、その価値を認めてくれたお客さんに愛されることが大切である。1番のモノしか買わない世界ではない。自分の良さを活かして成果が出るように工夫する。
6)成功しなくても価値はある
お金が稼げない自分は価値がないと思ってしまう人がいる。人間的価値と市場価値を区別することが大切。混同すると苦しくなる。市場価値は相手が感じる価値であり、買う人の欲求の強さによって異なる。人間的価値は自分で決める。ビジネスで成功しなくても自分の人間的価値を否定することはない。
(3)ゼロから大きなお金を作っていくステップ
初心者は小さくステップを踏む。まずは小さくお金を生み出し、それから少しずつ大きく育てるイメージ。
まずは相手の欲求を理解し、数千円でも良いからお金を生み出す経験をする。ここでは書籍にあった心構えである基本1〜3、実践のステップ1〜5を紹介する。
基本1:安心を確保しながら進める
失敗した時の担保を確保しながら、徐々にチャレンジする。小さく始めても得られるものはある。そして、次の段階に進んでいく。
例) 副業から小さく始める。応援サポートし、教えてくれる仲間を見つける。
基本2:相手の欲求を知ることに集中する
自分がどの欲求を満たせるか理解する。
- 色々な人から意見やフィードバックを得る
- 相手の悩みを聞く。エピソードを通して相手の感情を理解する。
基本3:目の前の1人を大切にすると道が開ける
たくさんの人に中途半端なサービスを提供するより、少数の人に感動レベルまでサービスを提供した方が次につながる。まずは、1人の人にじっくり時間を使い、自分のサービスを磨くことに尽す。
ステップ1:自分の仕事に関する居場所を新しく作る
必要な情報や仲間が集まる居場所を作り、安心して進める。セミナー、勉強会、コミュニティなどに参加して、居場所を探す。
ステップ2:短期間に練習を積み重ねる
自分のサービスを無料で提供し、練習するところから始める。
ステップ3:人のサービスの手伝いをする
自分が提供したいサービスを既に扱っている人のお手伝いをして経験を積む。
ステップ4:フィードバックを分析する
- どんなサービスが喜ばれるのか
- どんな人物(キャラクター)が求められるのか
ステップ5:自分の価値を認める
受け入れられた市場価値についても、自分で認める。自分は誰かの役に立っているとしっかり認識する。
(4)お金と顧客の満足度
「(1)人間の欲求への理解」であったように人がお金を払って、商品・サービスを購入するのは満たしたい感情があるためである。結果が出なくても人は感情が満たされれば、満足してくれる。
相手がお金を払う理由は結果が得られた時の感情を期待しているためである。すぐに結果を得られるわけではなく、それなりの期間とプロセスがある。相手が長く味わうのはプロセスで体験する感情である。サービスを開始してからはそのプロセス自体で良い感情を提供することが必要となる。人はお金を払う前は結果が出るかどうかシビアに判断する。一旦払うと結果への執着がだんだんと薄れていく。
大事なのは相手のペースに寄り添うことである。本書では以下の例が記載されていた。
例1)学習塾に通って、第一志望に合格しなかったが、親身になって教えてくれる先生に満足する。
例2)結果を第一優先に指導をするコンサルだが、スパルタでしんどいから、感情が満たされず、契約を解除させられる。
サービス提供で満足を与えるための原則を以下に示す。
- チャレンジできることが最高の喜び チャレンジのための伴走をする。
- 一生懸命な姿に心を打たれる 一生懸命サポートしてくれると感動する。一生懸命とは相手のことを親身に考えられること。
- エンターテイメント性があるから続けられる 人は楽しければ、続けられる。
- 信じてもらえるから頑張れる 誰かに信じてもらえると、人はものすごい力が出て、大きな感謝と満足感を味わえる。
- 仲間ができると人生何倍も楽しい
- 挑戦する姿勢に勇気をもらえる 人は人生のストーリーに強く共感する。サービスを提供する背景を語ることで価値が高まる。
- 自分を認められること 人が特に大きな満足感を得られるのは、自分を認められた時。今の自分を認められるように手助けすることは大きな価値がある。良いコンサルほどクライアントの良いところを見つけて、その強みを活かすというスタンス。英語を学ぶ人が深い満足感を覚えるのは今の自分の英語でも、少しは思いを伝えられると感じられた時。「今の自分でも良い」と感じられ、さらに上を目指すスタートと思えた時に人はエネルギーが湧く。
今の自分を認められるようになること
前章でサービス提供で満足を与えるための原則の最後に「今の自分を認められること」が相手に大きな満足を与えるとあるが、これはビジネスをやる側にも当てはまる。ビジネスをやる側も「今の自分のままで誰かの役に立つ」ということを思えることが大切になり、自分の存在価値を感じられ、ちゃんと生きていける自信、深い安心感が得られる。
逆に今の自分ではダメだというスタンスであるとガス欠になり、劣等感や欠乏感を動機になり苦しくなる。
今のままでも誰かの役に立てると思えるるように、自分を見つめ、行動することが重要である。
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