本の紹介
シン・ニホン AI ×データ時代における日本の再生と人材育成
著者:安宅和人
この本を読むべき人
- 「未来を創る」ということを知りたい人
- 日本の今後の進む方向性を知りたい人
概要
夢(課題意識やビジョン)を何らかの技術で解き、それをデザインでパッケージングしたものが未来。
夢とは「こんな課題を解きたい」、「こんな世界を生み出したい」という気持ち。
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この本は日本が直面する課題を起点に未来に向けた成長&持続的な戦略を論じた本です。著者の熱い思いが伝わる本でした。日本の課題解決に向けた本ですが、「未来を創る」という観点からも刺激になる本でした。本書では一番インパクトがあり、今後当たり前の素養になるAI・データという技術を中心に未来について述べられていました。ここでは「未来を創る」という観点から本書の重要な箇所を紹介していきます。
未来を創る人
夢(課題意識やビジョン)を何らかの技術で解き、それをデザインでパッケージングしたものが未来。
もろもろの科学的な知識や適用する技術は大事だが、それだけでは未来の創造につながらない。「こんな課題を解きたい」、「こんな世界を生み出したい」という気持ち(夢)を持つこと。どのような未来を描くかによってまったく方向性は変わる。
そして、それを形にするデザイン力。これから未来を変えようと思うのであれば、デザインという言葉の意味を広く捉え直し、鍛える必要がある。形や色の「意匠」のデザインだけではなく、プロダクトに関連する仕組みである「商品/サービス設計」、「系(システム)・モデル設計」など全てが一体となるデザイン。目に見えない特別な価値を生み出せるかどうか。素晴らしい世界を描き、領域を超えたものをつなぎデザインする力がこれまで以上に重要。人がいいなと思うであろうことを先んじて感じ、それを自分なりに言葉や絵で表現できる力が重要。
これからの時代に求められるのは、妄想を形に変える創造する力を持つ人である。従来は、競争に強い人や専門家、何でも満遍なくできる人が重視されてきた。しかし、これからは誰もが目指さない分野やアイデアで何かを起こす人が重要になる。夢を描き、それを形にするために複数の分野をつなぐ力を持つ人が必要である。また、横断的に世界が刷新されていく局面では、自分一人で全てを詳しく知るのは難しくなるため、様々な話題で相談できる人や優れた人とのつながりを持つことが重要となる。
AIの知能と人間の知性の違い
【AI と人間の根本的な違い】
- 意味理解を行う「知覚」ができない。意味を実感のあるものとして何も理解していない。
- 意志がない。判断や価値感を与えれない。
には人間の仕事の多くは課題を複合的に解決する知的生産であり、AI意志がなく、知覚できないため以下のことができず、人間が必要とされる。
- ありたい姿や目標、課題を設定するなど現状を見立てることができない。
- ヒラメキもなく、文脈がわからないので、問いを生み出せない。
- 枠組みのデザインができない。
- 常識的な判断ができない。
- 人を動かす力がない。
これまで生まれてきた技術で労働が自動化されたこと価値が生まれてきた。AI・データを使い倒し、AI・データ技術と人間の知性を掛け合わせて力を解き放つ。特定領域の知識を深く持ちながら、AI・データそして、デザイン素養を持つ人材が重要になってくる。
未来を創るために大切なポイント
✅ 知覚を深め、見立てて決めて、伝える力を高める
知覚を深めるにはハンズオン(触れる、試す)で直接的な経験を大切にする。人からの伝聞ではなく、自分自身の観察、経験であり、手と足を動かし、頭も動かすことが大切。
✅ 質感を感じれる領域を増やす。自分がどう感じるか、どう考えるかを大切にする。人の感想を基準にしない。
✅ 自分なりの言葉や表現にすることができる領域を増やす。文章、絵、チャートなど。自分の直感や肌感覚で価値を理解し、表現する。
✅ 大局的に理解できる領域を増やす。全体として受け止める、構造的に見る、多面的に見る、深く何度も考える。
✅ 自分としてハッとしたこと、新しい驚きである気づきを大切にする。
✅ 意思、自分らしさ、憧れ(その人なりの心のベクトル)を持つ
✅ 皮膚感を持って価値を生み出すことを理解する
仕事で変化を生み出すことを自分なりに考え、経験する
✅ 夢×技術×デザイン視点を持つ
「未来を創る」に関する言葉
本書に出てくるしびれた言葉を紹介します。
「未来は目指し、創るものだ。」
「もうそろそろ、人に未来を聞くのはやめよう。そして、どんな社会を僕らが創り、残すか、考えて仕掛けていこう。」
「大切なのは、自らハンドルを握り、素晴らしい世界を描き、どうしたら希望を持てる未来になるのか。領域を超えたものをつなぎ考え、できることから仕掛けていくことだ。」
「どんなことを仕掛けたら未来を変えられるのか。それを考え仕掛けていくのはとても楽しい。」
「自分は素敵な未来を残せているのか。」
「一日生きることは一歩進むことでありたい(湯川秀樹の言葉)。さあ行動だ。」
「未来を創る」というポジティブで勇気つけられる本でした。自分がこれからの人生で何を残していけるかというを考えさせられる1冊でした。
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